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深さ8m、長さ30mを超える大きな水槽の中には、ジンベイザメやイタチザメ、マダラトビエイやマアジ、クエ、グルクマなどたくさんの魚たちが泳いでいた。
真っ青な水の中を心地よく泳ぐ魚群は、圧倒的な迫力だったよ。
そんな魚たちに交じって、ひとりの女性が泳いでいた。
シュノーケルもゴーグルもつけていなくてさ、金色の長い髪をなびかせながら、ナンヨウツバメウオと寄り添いながら泳いでいたんだ。
水族館の従業員じゃないってことは、ひと目でわかったよ。
だって、彼女のウエットスーツは上半身がはだけていて、豊満な乳房が露わになっていたのだから。
僕は、彼女に目を奪われた。
いやいや、変な気持ちで見ていたわけじゃない。
突然、水族館の巨大水槽の中で半裸の女性が泳いでいたら誰だって驚くに決まっている。
褐色に焼けた肌、目鼻立ちがクッキリとしていてね、日本人じゃないことは一目瞭然。
大きなとび色の瞳が印象的だった・・・わかった正直にいうよ、形の良い胸にもしっかり目を奪われたさ!
年齢は二十代半ばだろう。
とにかく、いままで見たこともないような美しい女性だった。
頭の中では、真っ先に「人魚」って言葉が浮かんだよ。
薄暗い館内に、青く輝く水槽。
ライトの明かりが水中で揺らめく、幻想的な魚の群れ。
その中を心地よさそうに身体をくねらせる、彼女。
本当に、美しかったんだ。
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