第1章

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Bが戻ってくると、先程まで自分がいた所で少女が本を読んでいた。 A「この本、あなたの?」 B「ああ。置き忘れてたみたいだ」 少女はふぅん、と言って彼の名前を言った。 A「大切な本を、忘れちゃ駄目ですよ」 B「大切な本ってなんで分かる?それに、俺の名前……」 その本は今しがたBが見送った女友達から貰った本だ。 友達以上恋人未満の関係のまま、彼女はこの街から離れた。Bに一冊の本を置いて。 A「……ちゃんと、読みました?この本。背表紙の裏に、名前が書いてある。これがきっとあなたの名前だと思って」 B「でも、大切な本だとは分からないだろ?そんな落書きだらけの本」 A「この中の落書きされた文字、繋げて読んだことあります?」 Aから本を受け取りBは本を改めた。 B「……これ……」 A「大切な本ですよね?」 Bは先程見送った彼女と同じ切符を買って、駅のホームへ帰って行った。
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