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少女はことさらにゆっくりと自身を戒める布を一枚一枚脱ぎ捨てて行く。首元の窮屈な赤いリボン、ホックとジッパーでぴったりとウエストに合わせたプリーツスカート、汚れを知らない純白のブラウス。次々と脱ぎ捨て、最後には生まれたままの姿となる。そこで、少女は何かの視線を感じたかのように振り向き、ゆっくりとその場所に近づく。まるで、悪い妖精の呪いによって糸車の元へと引き寄せられた眠り姫のように。
軋む、小さな物音をたてた後、少女は何事もなかったかのように浴槽へと足を進める。否、装うことで浴槽へ向かった。
たっぷりと1時間ほどの後、少女はホカホカと乳のように白い湯気をまとって再び浴室の前フロアである脱衣所へと戻ってきた。しとどに濡れた髪にはタオルを巻き、幼いとは言いがたくなりつつある胸を被うようにバスタオルを身体に巻き付けた。粗方拭ったとはいえ、湯船の中で上昇した体温が直ぐに平常値に戻る分けもなく、滲み、滴る不快な汗を感じながらも、少女は凍りついたように一点だけを見つめ続けた。
入浴前に少女が引き寄せられるように近づき、そして目をそらし、逃げるかのように立ち去った場所。
少女は、恐る恐る接近して行く。まるで、触れれば呪われると噂される宝石に、呪われてでも手に入れたいと望むかのように。
きしり、小さく軋む音がした。
「きゃー!!2キロも太ってるー!!」
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