第1章

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A「そこは寂れたバス停だった。天井に細かな穴がいくつもあいて、茜色の絵の具が木漏れ日の様に滲んでいる。それに照らしだされた少女。これが僕と彼女のはじめての邂逅だった」 B「なにそれ?」 A「私達が物語の登場人物なら、こんな風に描写されるのかなって思っただけ」 B「なるほどね、そこから二人の物語がはじまるのかな?」 A「それも素敵だね」 B「うん、でも、ここは現実で僕たちは物語の登場人物じゃないよ」 A「つまらないことを言うのね」 B「現実的なことを言ってるんだよ」 A「現実なんてつまらないって言ってるんだけど?」 B「そうかい?」 A「そうよ」 B「なら、これは現実を素敵にするための提案だ」 A「……?」 B「そこに描写も事件もロマンも起承転結ない。だけど、それでもよければ僕と君の物語をはじめてみない?」 A「それは素敵ね、まるで現実じゃないみたい」 image=495033284.jpg
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