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目が覚めると、そこは知らない場所だった。
モノクロ調で揃えた部屋。シンプルな印象だ。
俺はベッドに寝ていた。
ここは、どこだ?
ガチャ、と音がして部屋のドアが開く。
そこにいたのは佐伯貴史だった。
何で佐伯が…もしかしたらここは佐伯の部屋なのか?
俺が戸惑っていると佐伯は説明してくれた。
「真咲、教室でまた寝ちゃってさあ。でももう帰れって怒られて、真咲は起きないし、しょうがないからおぶって俺の家まではこんだんだ」
おぶって!?
俺はそんな大きくないけど、男を運ぶなんて容易ではない。
「…悪かったな」
「いいよ、真咲軽かったし。それにいい匂いしたし、寝顔…バッチリ見れたし!」
「そうか。ありがとう」
「…なんか真咲素直になったね、ちょっと」
佐伯と話してると、なんだか不思議で。
自然と嘘はつけないし、素直になっちゃうみたいだ。
「真咲、もう8時になるんだけど、家帰る?それとも泊まってく?」
さすがに泊まるのは迷惑だよなあ。
「家帰るよ」
「じゃあ送ってくね」
「え、いいよ。一人で帰れるし」
「心配だもん。だめです」
断ってもついてくる気だったから諦めた。
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