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俺と佐伯は外に出た。
外はすっかり暗くなっていて、少し肌寒かった。
無言で歩き始める。
街灯に照らされ、二人の影がのびていた。
並んだ影を見て思う。
まだ初日なのに、こいつとこんなに話すようになるなんて。
そんなつもり無かったのになぁ。
「真咲の家この辺なの?」
「うん、もうそこだよ。送ってくれてありがとう」
「どういたしまして、」
家の前に着いた。
佐伯は俺の手を取って見つめてくる。
今日の放課後のときのように、目を合わせてしまった俺は動けない。
佐伯の顔は近づいてくる。
何…?
見つめ合ったまま抵抗もできなかった。
佐伯の顔が、俺の顔に影を落とすくらい近づいたとき、
堪らず俺は目を瞑った。
ちゅっ…
…ちゅ?
熱を持ったものが頭に触れた。
佐伯は早く家入んなよ、と言って去っていった。
………今のって、キス?
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