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「…泣かないでよ」
佐伯の指が俺の頬に触れた。
佐伯に言われて、自分が涙を流していたことに初めて気付く。
暖かい指先が目から零れ落ちた滴を拭う。
潤んだ視界に佐伯の顔が映った。
嬉しそう……何故?
「ごめんね、泣かせるつもりじゃ無かったんだけど。真咲は俺に構ってほしいの?」
佐伯の瞳に俺が映ってる。
何だかすごく恥ずかしい質問に、顔が熱くなるのが分かる。
ここで頷いたら負けな気がして、無言でいたけれど。
やっぱりその瞳に見つめられていると嘘はつけなかった。
俺の頭が動いて、佐伯の質問に対しての肯定を示す。
佐伯は心底嬉しそうな笑顔を見せた。
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