第1章

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 悪天候の東北にやっと日が射した。男は親類運転の車で某無人駅へ向かう。男はカメムシ大量発生の看板の横を通り過ぎ、駅に着いた。  帰省時期に駅は活気を取り戻したようだが、電車の本数は変わらない。そして時期が少し過ぎたころ男はまた都会の自宅へ戻ることにした。男が待合室に入り、飛び込んできたものは… 日射しを受けた木々が雫をこぼし、綺麗な彼女を指し示したような光景だった。  男は思わず見とれそうになり、すぐに下を見た。  彼女はきょとんとした顔で向かいの男をじっ…と見た。男も気づき、最初に見たとはいえ、迷惑そうに彼女を見返した。  それでも目をそらさない彼女に耐えかね男は寝たフリを決め込むことにした。 A「はぁ…あ…あの…すみません…」 彼女から絞り出されたような声が。男は思わず B「えっ、何」 と反射的に返事をした。 A「カメムシ…肩についてます…」 B「ああ…そう…」 彼女のかばんの上のホトトギスが鳴いた。
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