0人が本棚に入れています
本棚に追加
「猫神様は化け猫だっていう噂は本当なのかな?」
「そんなわけないわ。妖怪なんているはずないもの」
「でも、百発百中っていう噂だよ。なんだか人間離れしてるじゃないか」
「そうだ!」と黒山さんが大きな声を上げた。突然のことに白川君がびくりと肩を震わせて黒山さんのほうを見ると、彼女は幼い少女のような悪戯っぽい笑みを浮かべている。「確かめてみようよ。猫神様の秘密を暴くの」
「なるほど。名案かも」と白川君もすぐに賛同の意を示した。
謎というものはスパイスのようなものである。変わりのない日常にちょっとした刺激をもたらす。どうして空は青いんだろう。どうして鳥は飛ぶんだろう。どうして海の水はしょっぱいんだろう。子どものころは日常のすべてが謎に満ち、毎日が謎を追いかける冒険であったはずだ。えてして大人になると好奇心や冒険心を失ってしまうものだが、それは不幸なことである。日常は謎に満ちている。ここにも、そこにも、あそこにも謎は転がっている。今、猫神様の謎を追いかけると決めた二人の目は光に満ちているではないか。
最初のコメントを投稿しよう!