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「誰もが思わず振り返るような美人で、胸は大きく、お腹はきゅっとくびれ、お尻は大きめながらも引き締まり、太ももはマシュマロみたいに柔らかく、性格は優しくておしとやか、今まで誰とも付き合ったことがなく、一途で浮気なんかせず、純真無垢でありながらも少しだけエッチな彼女ができますように」
破廉恥な! 橘君の頭のなかにあったのは、不純きわまりない願望もとい欲望であった。
ここに記したものは、毒々しい桃色に染まった妄想の序の口に過ぎない。このあと、クリスピードーナツに生クリームとカスタードを塗りたくったような、吐き気がするほどに甘美なラブストーリーと、ベッドの下や本棚の裏、パソコンの最奥、あるいはゴミ箱の底に吐き捨てられた男の欲望をかき集めたような、目を背けたくなるほどに猥褻なロマンスが大河のように続くのである。
「ついでに世界が平和でありますように」
情欲にまみれた願望だけでは少々はしたないと思ったのか、ついでに世界平和も祈願していた。
橘君は神社の境内にて「恋人が巫女さんというのも素敵かもしれぬ。なんと背徳的な響きか」と考えるような不潔な男であった。薄汚れた印象を受ける風貌をしているが、外見にとどまらず中身も薄汚れている男だったのである。
先ほど橘君のことを善良な市民だと表現したことで、さも彼は清廉潔白な男であるかのような誤解を与えてしまったかもしれない。ここにお詫び申し上げる。彼はとんだ破廉恥漢であった。
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