第一章

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「いかにすれば、誰もが思わず振り返るような美人で、胸は大きく、お腹はきゅっとくびれ、お尻は大きめながらも引き締まり、太ももはマシュマロみたいに柔らかく、性格は優しくておしとやか、今まで誰とも付き合ったことがなく、一途で浮気なんかせず、純真無垢でありながらも少しだけエッチな彼女ができるだろうか」  注文が多すぎやしないだろうか。まずは「ホモ・サピエンスの彼女ができますように」くらい控えめなほうがいいのではないだろうか。そこまでいかなくとも「顔が可愛い彼女」「性格が優しい彼女」「胸が大きい彼女」くらいの条件に絞ったほうが現実的ではないだろうか。などと思わないでもないが、夢は大きいほうがいい。橘君よ、大志を抱け!  さて、二時間にもおよぶ思考の末に橘君が出した答えは「神頼み」であった。  彼の理想をすべて満たすような女性と出会い、そして恋人という関係になる確率を考えてほしい。きっと空から美少女が降ってくる確率と変わらない。つまり、ゼロである。確率ゼロの出来事が起こったとなれば、それはキリストの復活と並ぶほどの奇跡である。  奇跡となれば神に祈るほかはない。  そういうわけで、橘君は今日も神前にて手を合わせ、真面目な表情で祈りを捧げている。 「誰もが思わず振り返るような美人で、胸は大きく、お腹はきゅっとくびれ、お尻は大きめながらも引き締まり、太ももはマシュマロみたいに柔らかく、性格は優しくておしとやか、今まで誰とも付き合ったことがなく、一途で浮気なんかせず、純真無垢でありながらも少しだけエッチな恋人ができますように」  少し考えてから「できれば黒髪のロングが似合う人がよい。巫女装束が似合うとなおさらよい」と追加の注文をするとともに、「ついでに世界が平和でありますように」と世界平和も願うことも忘れないのであった。
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