ただのメッセージ

3/11
前へ
/37ページ
次へ
 以前、籠島回路に依頼をした中学生の少女だ。  「お願いします! 私、何でもしますから!」  「だから、その台詞が既にアウトなんだよ」  現役の女子中学生から、そんなことを言われたなど、世間に知られては、『ロリコン』や『性犯罪者』の謗りは免れない。  例え、噂話でも一度ネットに流されれば、捏造、誤解は当然のように起こってしまうのが、現代のネット社会の業である。  「そもそも、君の両親は何て言ってるの? 駄目だよ、こんな怪しい男に近付いちゃあ」  それを言ったら、前回彼女の依頼を受けた時点で、籠島も同罪なのだが、都合良く余計なことは考えない。  「それは大丈夫です。むしろ、兄の命を救ってくれて、直接お礼を言いたいと言う程、先生のことを気に入っています」  ぐっ……、と言葉を詰まらせる籠島。そもそも前回の手柄は半ば強引に、怪盗であり、宿敵でもある二階堂三階から押し付けられたもので、彼女の力無くしては解決出来なかったと言うのが真実なのだが。  『無条件で助力してあげた私に感謝しなさい』  と、ニタニタしながら、皮肉を言う二階堂の姿が目に浮かぶ。このことを思い出すと、無性に腹が立つ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加