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「……先に言っておくと、アルバイト代も出せそうにないな」
「いえ! 別にそれはいただこうなんてーー」
慌てた様子で、横に手を振る緑ヶ丘。無償で手伝ってくれるのであれば、それは有り難いことこの上ないのだが、しかし、流石にそろそろ良心が痛んできた。
労働基準法に照らし合わせれば、一体どれだけの違反をしていることやらーー
「……まあ、勉強で分からないことがあれば、何でも言ってくれよ。分かる範囲で教えるからさ」
言いながら、自身の健全さと無害性を再確認する籠島。
(……良し、僕は犯罪者とは程遠い!)
心の中でガッツポーズを決め、思い出したように、新しい助手となった緑ヶ丘椚に向かって、こう忠告した。
「それから、私のことは『先生』以外の呼び方で頼むよ」
何せ、勉強は教えられても、そんな誉められたものではないからねーーそう言って、籠島回路はニッコリ笑った。
籠島が『先生』と呼ばれることをあまり好まないのは、かつて探偵として活動を始めたばかりだった頃の話にまで遡る。
なので、今回は省かせてもらうとして、では、緑ヶ丘椚が籠島回路を何と呼んだかーー
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