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「だったらお前ひとりで行けよ」
妻の顔色が変わった。彼女の頬が怒りで小刻みに震える。
「いいわよ。行くわよ。私一人で」
私一人で、の部分を強調するように言って妻は立ち上がる。そのまま振り返りもせずに立ち去ろうとする彼女を「おい」と呼び止めた。
「一応言っておくけど、何か見つけたらここに戻って来いよな」
振り返った妻は呆れたように「はいはい」と言ってから、
「じゃあ私も言うけど、ここを誰かが通りかかったら、すぐに探しに来てよね」
と挑むように俺を睨んだ。
「了解」と茶化すように敬礼してみせると、彼女つんとそっぽを向いて歩き始めた。
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