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エレベーターを降りたそこは最上階だった
正面でガードマンのセキュリティチェックを受けてから
足元が沈み込みそうな絨毯を踏んでようやく通されたその部屋に彼はいた
「───よく、わかりました」
分厚いファイルに目を通した後、よく通る深い声でその男は言った
仕立てのよいスーツに精悍な体躯を包んだ男は我が主より少し歳下に見える
あの方も生きていれば、この男のように見る者を魅了せずにはいられない色香を纏っていたに違いない
「色々、お世話をかけたようで申し訳ない。後はこちらで───」
あの報告書を読んで取り乱さないとは大したものだ
図らずもこの男に関係する女性を二人もお世話することになった
―――ひとりは真夏の太陽のように、明るく笑うひとだった
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