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母は最期まで大旦那さまを看取った後、屋敷を去った
「悠真、ごめんね。許して…」
慎ましい母らしく何一つ要求せず、跡形もなく自分の痕跡を消して…
だけどそれで罪が消えた訳ではない。相次いで当事者がいなくなった後、その罪は私ひとりのものとなった
母の息子として罪を抱えて生きることが、私と母を繋ぐ唯一の絆となった
だけどそれは、ひとりで抱えるには重すぎて私の心は悲鳴をあげていた
マダムの胸の中は、そんな私を包み込み束の間の安らぎを与えてくれたのだ
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