第9章‐ジツリョクのサクソウ‐~動き出すタラントル編~

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―――――――――――――― 「というわけで、馬車を借りたいの。」 唐突だけど、今街の外れにある馬(?)小屋に来ている。 なぜ馬(?)としたかは、 実はこの国では、馬そのものが絶滅しているそうなのだ。 あの、この街に来るまでの色違いのゴツい馬らしき生き物の事だ。 実はもっと種類があるらしいが、 もう面倒だから、馬で統一しよう。 聞くと、荷物を運べれば馬と呼ぶそうで、気にしないそうだ。 もうわかんなくなってくるので、スルーしようと思う。 さて、 あれから、案外忙しかったことをとりあえず伝えておこう。 あの後、まだまだ城内観光ツアーは続いた。 しかしそんな時に限って運は悪くなるようで、そのあとすぐに城の望遠班… という観察担当の人たちが、洞窟に動きを確認したそうだ。 さて、エリサや僕はそれから準備をし、さっきの寝室部屋に集合していた。 え?バード? バードはクロに連れられて行ったまま帰ってきていない。 なぜかは不明だ。 それから、数分後にまたクロと疲れきった顔をしたバードが帰ってきた。 さっきの魔法瓶から感じた魔力がバードから感じられたから、多分魔法瓶を運ばせていたのだろう。 さて、本題はここからだった。 そもそも圧倒的な力を持つ王女が城から出る時点で、警備は手薄になってしまうのは明白だ。 そこで、外出を悟られないようにするために、隠蔽に隠蔽を重ねる作業を続けて手伝うことになったのだ。 もう、飽きるほどに。 といっても、他の人が出入りするタイミングに合わせて出ただけなのだが…回数が多かった。 と、まあ忙しかったのだった。 さて、話を戻すことにしよう。 馬小屋の兄さんは景気の良くない顔つきで、疲れてるような不機嫌な声でクロと話し込んでいた。 どうも値段交渉をしているようだ。 「…んーじゃあ確認で、カードを出してくれ。」 …冒険者カードでばれるとか思っている者達よ。 安心してっ! 王女様には特別に二枚カードが存在するのだ! って、本人に聞いた。 なんか疲れたとは言わない。 言ったら何かされそうで怖かったし。
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