第9章‐ジツリョクのサクソウ‐~動き出すタラントル編~

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「んー…この馬が良いわね。」 「おっ…見る目があるんだ。お嬢さん。 こいつは上物…よくわかったねぇ」 「前足の形が揃ってるし、この種類は一番体力がある。」 「ほぅほぅ…良い目だね。」 …… なんだか向こうで二人が話し込んでいた。 僕には猛者の記憶があるけど、 馬のよし悪しなんて気にしてる記憶なんてなかった。 みんな魔法で、文字通り″乗りこなしていた″。 魔法を足の裏にくっつけて高速ダッシュ~…だとか、 魔力を大きな翼として顕現させ、飛んでた人もいた気がする。 けれど、僕はまだ使わない。 だって空飛べるんだよー? さすがにチート過ぎて、せめてもの普通に移動しようと決めたのだ。 まあ…今更感がしてくるのは気のせいということにしようと思う。 「ありがとねー」 「毎度あり~」 お…交渉が終わったみたいだ。 連れてきた馬は…あれ? どこかーで見た気がする。 「さーて、後はこの子を扱える人を探すだけね~… イルー?近くにいいところは無いかしら?」 「えー…近くですと…」 あ、そうだ。思い出した。 「あのー…良ければ僕がやりましょうか?」 そういえば、歴代の知識ではない、この体本来の知識でこの種と同じ馬(というか牛に近い)の扱い方を教わった記憶がある。 せめてこれくらい出来ないとね…。 誤魔化せないし。 さて、…期待の目が一斉にこっちに向いたのは言うまでもない。 手伝えることは手伝う。 そう決めた瞬間だった。 そっちの方が誤魔化しがききやすいかなと思ったのは秘密だ。
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