第9章‐ジツリョクのサクソウ‐~動き出すタラントル編~

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「さてと、役者も揃ったことだし、 そろそろ行きましょうか~。」 どうしよう。 目がきらきらである。 …まあ、自分で言い出したことだからしょうがないとも言える。 諦めて、無言で立ち上がる僕なのであった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 会議室。 辺りは暗く、スポットライトを当てたように一点だけ明るくなっており、 そこに二人の影があった。 「タラントル…だと?」 顔は、フード付きのマントで隠されていて見えない。 が、声からして30代ほどだろう。 驚くというより、ただ興味が湧いただけのような質素な言い方だった。 「ええ。 タラントルが、神の王国付近、 ″カレラ洞窟″に出現したと報告が上がっております。」 相対していた若そうな声が答えた。 こちらもフードを被っていて顔はわからない。 「そうか…例の手筈は整っているのか?」 「はい。 神の国としては、 こちらの交渉に応じるしかありませんでしょう。 今すぐ洞窟の方に、捨て駒を派遣いたしましょうか?」 「いや、あの王のことだ。 既に洞窟に向かっているだろう。」 「それでは…」 「神の国とて、タラントルに敵うはずはない。 交渉材料としてこれほどのものは無い。 伝えろ! 我らの最強部隊を招集させ、王を捕らえるのだ!」 …明らかに顔がにやけていた。 卑しい笑い顔で彼は命令を下した。 「はっ…全ては閣下の仰せのままに…」 若い男はそう答えると、闇へと消えていった。 「くくくく…ついに…… ついに…神の国が我らの手に… くふふふふ……ふははははははは…」 彼の笑い声は遠くまで響いていた。 そしてそれは闇に溶け込むように、 閑散とした室内に良く響いていた。 戦いの火種は、もうすぐそばにまで 近づいているのだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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