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さてとりあえず、
僕は果物に口を付けていた。
ちなみに毒とかは魔術で確認してある。
今更チート何て言わない。
…あ、こいつ意外に美味しい。
少しかじったあとがあったが、甘い果汁は苺を連想させる甘さだった。
もしかしたら、すこし余ってたものを僕のために届けにくれたのかと感じた。
そう思うと、もうすこし警戒を解いて柔軟に話しかけてればとほんの少し思ったのは秘密にしておいて欲しい。
なんて思っているうちにまた1人、
この部屋には入ろうとしている人がいた。
その人物は何事もないようにドアを開けると、こちらに向かってきた。
どうも魔力を頼りにここまでたどり着いたようだった。
ちなみに、僕はこの人が誰なのかわかっていた。
「お前、クロアネルか?」
その人は聞き覚えのある男の声でそう問いかけてきた。
実は少し焦ってしまった。
まさかクロと間違われると思わなかった。
僕は、無駄に放出してしまっていた魔力を抑えつつ、
聞き覚えのある声の方に歩いていった。
○●○●○●○●○●○
「早く…起きなさいってば… 」
「う…」
私は、体を揺さぶられる感覚で目が覚めた。
どうやら私は寝てしまったようだ。
目の前には、クロ王女様の顔が……
「きゃむぐっ」
「静かにしなさいって…」
口を手で押さえられていた。
…いやいや、夢にもクロ王女様が出てきてたから焦った~…とは言えない。
「ここから出るわよ…。
ドアを破るわ。」
彼女はそう言って、目を閉じて呪文を唱え始めた。
記憶からして、これは加速魔法。
私も少しはできる。
けれど…、
私には到達不可能な魔法だった。
それも、かなり高位の展開式。
気がつけば、彼女の指先から光が生まれていた。
私は呆然とその光に眩しさを感じつつ、
この後どのように逃げ出すのかを考えていた。
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