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僕は、念のために腰袋を手元に呼び戻す。
…無事に瞬間移動してきたようだ。
連れていかれたあのとき、一応と、奪われてたからねっ。
腰袋から、―言い訳の口実として―魔法瓶を取り出していた。
「違うのか?誰だ…?」
さて、どうしたものか…
そもそもこの部屋に明かりになるようなものは発見できなかったし。
魔法でとりあえず隠れとく?
…魔法…?
…ふと、思い付いた瞬間だった。
魔法でどうにかすれば良いことを。
…別に今まで忘れてたわけじゃないんだからね!
…ごめんなさい。
忘れてました。
というわけで、
魔法瓶から一欠片ほど魔力を取り出して、光に変換してみる。
一欠片しか使ってないので、
うっすらとした明かりとしてふわっとした灯りが生まれた…と思った。
…少し出しすぎたかな?
次の瞬間、フラッシュのような光が発生してしまった。
「うわっ!
……って、お前かよ!」
…やはりそこに立ちすくんでいたのは、
紛れもなくバードだった。
ていうか、出合って早々お前かよ!は無いと本当に思う。
バードの然り気無いひどい一言に呆れながら、
僕はつい、ため息をついてしまっていた。
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