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ポツポツ降っていた雨が少し強くなり、一滴一滴が俺の身体を濡らしていく。
血の雨じゃない。
ドロドロとした生暖かい感触ではなく、身体の芯まで冷たくなる雨。
なんだか少し感動する。
二人組に追われた女を見て、既視感に陥る。
既視感。
いわゆるデジャヴだ。
実際は体験したことはないが、前に体験したように感じる現象。
女が追われて、それが起きるのはおかしい。
なんで?
表情は見えないがおそらく必死で逃げている女。
青い帽子を被っているから味方だ。
二人組がもうすぐ女に追いつく。
プチッ!
俺の心の中の糸が切れ何かが爆発する。
怒りを越えた感情。
いくら北の仲間だからってこの不思議な感情はなんだ?
俺の身体は動き出し、風を叩きつけ敵に向かう。
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