決戦に向けて

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エレベーターが最上階に着き、廊下を歩いてスイートルームに向かう。 「おっ!仁!お疲れ!」 声をかけてきたのは吾朗だ。 「もう大丈夫か?」 吾朗は戦えないのにも関わらず奇跡的に生きていた。 というより隠れていたと言った方が正しい。 東京タワー周辺メンバーで生き残ったのはわずかに4人。 俺、和也、真文、吾朗。 他の人はほとんど、鬼に変えられ仲間内に殺されてしまった。 展望台にも十数人の死体があるって真文が言ってたな。 あっ! おじさんを忘れてた。 命の恩人なのに……。 俺はおじさんと、真文を迎えに行き、たまたま地図を見た時に東京タワーの中に青い丸が一つ表示されていることに気づいた。 探しに行って発見した時にわかったが、吾朗はみんなが斬られ鬼に変わっていく中、うまく一階のトイレに隠れてやり過ごしていた。 発見した時は洋式の便器の上に体育座りをして固まっているのを見て笑ったっけ。 「もう大丈夫だよ! あれはほんのジョークだって!」 俺も真文も吾朗もおじさんも緊張が緩んだのかここ数時間、笑ったりしてる。 和也は一回戦同様、意識不明のままだ。
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