第1章 異世界

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1 「ただいまー」 陽が落ち、薄暗くなりつつある中、制服姿の少女が家へと帰ってくる。 家の中は、人気はなく、明かりもない。 「お父さんもお母さんも仕事だったっけ」 呟いて少女、桐生花音は溜息をついた。 幼い頃から一人で留守番することはあり、帰ってきた時に誰も居ないのに慣れてはいたが、寂しいという気持ちもある。 溜め息をついて、廊下の電気を付け、階段を上がって自分の部屋へ向かう。 その途中で両親の部屋のドアが開いていて、中で何かが光っているのが見えた。 「何だろ?」 光っているものが気になって、両親の部屋へ入る。 光を放っていたのは、シンプルなペンダントだった。 「こんなの、お母さん持ってたっけ?」 どうにも気になってしまい、ペンダントを手に取ってよく見てみたが、やはり母親が付けているのをみたことはない。 「まぁ、何処にも付けていってないし、家に保管してあるってことは、それだけ大切なものなんだよね」 そう呟き、納得したように頷くと、ペンダントを戻そうとする。 しかし、その前にペンダントの光が強まり、花音を包み込む。 「えっ?きゃあああ!」 その直後、花音の足場がなくなり、何かの空間に投げ出されたように感じた。 一瞬後、光がおさまった時には花音の姿は消え、鞄だけが残されていた。
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