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(お父さん達、心配してるかな?)
そんなことを思いながら空を見上げた時、背後で地を踏む音がした。
誰かが来たのかと振り向こうとして、それより前に首にヒヤリとする何かを突き付けられる。
視線で確認すると、細身の剣が見え、息をのんだ。
「なっ!?」
「動くな!」
鋭い声と共に殺気を向けられ、花音は肩を震わせる。
「見たことない奴だな。こんなところで何をしている?」
言いながら、剣の持ち主が背後から正面へ来る。
殺気を放っていたのは、そう歳も変わらないだろう少年だったが、銀髪金眼という少年の容姿のせいか、少し冷たい印象を受けた。
「ここは風の国と火の国の国境にある森だ。国境を越えたなら、通行証があるはず。見せてもらおうか」
(そんなの持ってないよ)
そう思ったが、口には出せなかった。
だが、黙っていても状況が悪化する気がする。かといって、正直に話しても信じてもらえる可能性は低い。
(ど、どうしよう?)
花音が困った時、この世界に来た時から首に下げられていたペンダントが僅かな光を放った。
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