第1章 異世界

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「!?」 それに気づいた少年が目を見開く。そして、今まで花音に突き付けていた剣を引き、鞘に納めた。 「お前、それを何処で手に入れた?」 「えっ?これはお母さんが持ってたんだけど……」 花音が答えると、少年は何かを考えていたが、ふと花音の腕を掴んだ。 「お前に聞きたいことがある。城まで来てもらおうか」 「えっ?ちょ、ちょっと……」 腕を掴んだまま歩き出した少年に花音は声を上げたが、少年は構わず歩き出す。 そのまま少年の後を歩いていくと、幾らか広くなっている場所で彼は立ち止まった。 少年が空に向かって、指笛を吹く。 すると、少しして現れたのは、白銀の竜だった。 地に降りた竜に飛び乗り、少年が手を差し出してくる。 「ほら、掴まれ」 「乗るの?この子に」 「ああ。歩いてたら、時間が掛かるからな」 そう言った少年の手を花音が戸惑いながら掴むと、竜の上に引き上げてくれた。 「よし、じゃあ行くぞ。恐かったら、あまり下は見るなよ」 少年が言って、地を蹴る。それが合図だったのか、竜は上昇し、あっという間に森は小さくなっていった。
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