5人が本棚に入れています
本棚に追加
「このまま城まで飛ぶからな。しっかり掴まってろ」
「う、うん」
前に乗っている少年の腰に戸惑いがちに手を回していた花音は、その言葉にしがみつくようにしっかりと掴まる。
それを見て、少年は小さく笑うと、竜に何か話し掛ける。すると、少しだけスピードが落ちた気がした。
「なあ!」
スピードが落とされ、少し余裕が出来た花音に前を見たまま、少年が声を掛けてくる。
「何?」
「まだお互いに自己紹介してなかっただろ」
「あ……」
その言葉に花音も忘れていたと声を上げた。
「そうだったね。私は、花音。桐生花音。貴方は?」
「俺は風夜。風の国の第二皇子だ」
「皇子!?」
身分を聞いて、思わず驚く。同時に何故皇子である風夜が供もつけずにあんな森にいたのか気にはなったが、それを聞こうとした時、彼が前方を指した。
「あれが風の国の城だ」
そこには白い城壁に囲まれた大きな城があった。
最初のコメントを投稿しよう!