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〈気ヲツケテネ〉
ハンビーの暖かい言葉を受け取り、俺は、車のドアを開けて降りた。
同時に肌寒い風が皮膚に突き刺さる。
風は容赦なく羽織の隙間を突き抜けていく。
まだ9月なのにこんな寒いのかよ。
山のせいもあるだろうが気温が異常に低く感じる。
改めて周りを見渡すと、背が高い木が無数に立ち並び、夜の景色が不気味さを演出している。
マジ怖いわ。
今からここに侵入していくと考えるとお化け屋敷に入る時より身体が身震いする。
この感覚、苦手だわ。
ジェットコースターは好きなのに……。あれに乗る時は別の緊張感がある。
ワクワクとドキドキが待っていてテンションが上がるんだ。
これは本当に嫌だな……。
フライシューズで一気に行きたいところだが、俺と仁しか履けないからそうもいかない。
全員がハンビーから降りて、仁を囲うように集まった。
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