逃走

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「わかったネ。 ワタシはそっち追うネ」 そう言うと、春雨と呼ばれたローブが暗闇の中へ姿を消していった。 私の聞き間違いでしょうか? 今、あなたはノアと口に出しませんでしたか? ノアの箱舟のノアですか? 心が一気にその言葉へ持っていかれた。 私は思わず花道院へ質問をした。 「ノアって箱舟のことですか?」 ここはあくまで低姿勢に。 相手を不快な気分にさせてしまったら、絶対に答えてくれません。 「おや?ノア様の事をあんたは知らないのですか?」 私は黙って頷く。 「そうですか。 教えませんけどね。 知ったところであんたには、何の意味もありません。 私の研究室に実験材料として連れて帰りますから」 常識的に考えて教えてくれるはずがありませんね。 とにかくこの男を倒しましょうか。 私は胸に手のひらを当てた。
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