帰らぬ人（第２章）

帰らぬ人

僕は、視線を土方さんの胸に移し、スキルの種を見つめた。

確か開花能力が発動するようになると、種から根っこが生え、心臓全体にそれが行き渡るはず。

もっとも僕は、開花能力まで達してもいないのだが……。

というか、あまり使用さえしていない。

僕の胸の中には、スキルの種が二つ入っている。(1のP703参照)

以前に大阪の大日でセスと戦った時に、使用したのが、スパーク。いわゆる電気系統のスキルの種だった。

セスには全く効かなかったけど……。

もう一つは、下手したら使う事はないかもしれない……。

あれを使うと、下手すると後戻りできなくなる。

そう。土方さんのスキルの種は、開花しているから、取り出すのが大変なんだ。

根っこに傷をつけた瞬間にスキルの種は、溶けるようになくなってしまうことが立証されている。

これを簡単に取り出せるのは、総長の天草さんと研究班リーダーの聖徳太子さんだけなんだ。

「早めに取り出した方がいいですよね～」

何気なく聖徳太子さんは、土方さんの心臓部分を触る。