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「私も読ませてもらってもいい?」
真文が不安な表情を浮かべて俺を見てくる。
「いいよ」
俺は、金色に光り輝く紙を真文に渡した。
受け取るなり、真文は真剣な表情で、手紙に目を通し始める。
『何て書いてあったんや?』
吾朗が俺に会いたいんだってさ。
『なんやて!?
そんなら八つ裂きにしたろやないか!
あんのクソガキ!
こっちは、危うく死にそうになったんや!』
闇刀は、いつになく、口が悪く、興奮したように俺の心を言葉で、ど突いてきた。
手紙を読み終えた真文が俺を見て口を開いた。
「こんなの、無視しよう!
会いに行かなくていいよ!」
今にも真文は、泣き出しそうな目をして、少し興奮しながら俺の両肩を掴んできた。
「ごめんね。
やっぱり読ませるべきじゃなかった。
ごめんね。
私が渡さなきゃ……」
違うんだ。真文。
もうこれを読み終えた瞬間には俺の心は決まっていた。
「ありがとう。真文。
俺、吾朗に会いたい。
ちゃんと話したいんだ」
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