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古手川仁―――――――――――
散々、泣いたせいか、泣き疲れ、俺は、顔を拭った。
涙なんかもう流したくない。それほど、疲れた。
土方さんの、棺のふたを俺はゆっくりと閉めた。
「大丈夫ですか?」
聞き覚えがある声がし、後ろを見ると、絵菜さんが立っていた。
「ああ。
恥ずかしいところを見せちゃったね」
俺は、袖でゴシゴシと顔を拭った。
今日だけで、何回、袖を使った事だろう。
「ところで絵菜さんは、どうしてここに?」
絵菜さんは、真剣な表情をしながらも、わずかに照れたような仕草を見せながら言った。
「あの、その、古手川隊長が心配になって……」
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