目的-2

3/32
前へ
/32ページ
次へ
古手川仁――――――――――― 散々、泣いたせいか、泣き疲れ、俺は、顔を拭った。 涙なんかもう流したくない。それほど、疲れた。 土方さんの、棺のふたを俺はゆっくりと閉めた。 「大丈夫ですか?」 聞き覚えがある声がし、後ろを見ると、絵菜さんが立っていた。 「ああ。 恥ずかしいところを見せちゃったね」 俺は、袖でゴシゴシと顔を拭った。 今日だけで、何回、袖を使った事だろう。 「ところで絵菜さんは、どうしてここに?」 絵菜さんは、真剣な表情をしながらも、わずかに照れたような仕草を見せながら言った。 「あの、その、古手川隊長が心配になって……」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

326人が本棚に入れています
本棚に追加