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「俺の心配……?」
「はい!
私じゃあ、何もできないかもしれませんが……お話くらいなら聞けるかなと思って……」
絵菜さんは、無理に作ったような笑顔を浮かべて、俺に微笑む。
そうか。俺の事を励ましてくれようとしてるのか……。
俺は、羽織りの中にしまって置いた、まなみのネックレスを握り締めた。
まなみの遺体から見つけて、拾ってきた黒いネックレス。
これだけは、綺麗に残ってたんだ。
あいつ、服も全身黒色だったな。
久しぶりに再会した時は、黒の盗賊と間違えたっけ。
今となっては、もうまなみはここにしかいない。
絵菜さんは、さらに続けた。
「少し、外の風に当たりながら話しませんか?」
ちょっとめんどくさいけど……こうやって俺を励まそうとしてくれてんだ。
付き合うかな。
俺は、頷いて、絵菜さんと一緒に部屋を出た。
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