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仁は、本当に怒っていた。俺を見る瞳は、今までにない程、怒りで満ち溢れている。
「駄目だ!!!駄目だ!
行くなら俺が行くから!」
仁が拳を俺の胸に、少しだけ痛みを感じる強さで叩きつけてくる。
「もう誰にも死んで欲しくないんだ!」
何度か叩いた後、今度は仁の目に涙が溢れ始めた。
それを俺はゆっくりと振り払い、仁、真文、優君を見渡した。
「頼むよ!!!
理由とか根拠とかはない!
今日、一日でいいから、俺を信じてくれ!
あいつは、悪い奴じゃない!
必ず戻ってくる!
金輪際、我が儘は言わない!」
優君が、俺に近付いてきて口を開いた。
「和也君。
君が言ってる事はわかったよ。
だけど、もしも吾朗君が君の言うような人じゃなく、君を憎み、本当に殺しにきたら、どうするんだい?」
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