友情

4/30
前へ
/30ページ
次へ
仁は、本当に怒っていた。俺を見る瞳は、今までにない程、怒りで満ち溢れている。 「駄目だ!!!駄目だ! 行くなら俺が行くから!」 仁が拳を俺の胸に、少しだけ痛みを感じる強さで叩きつけてくる。 「もう誰にも死んで欲しくないんだ!」 何度か叩いた後、今度は仁の目に涙が溢れ始めた。 それを俺はゆっくりと振り払い、仁、真文、優君を見渡した。 「頼むよ!!! 理由とか根拠とかはない! 今日、一日でいいから、俺を信じてくれ! あいつは、悪い奴じゃない! 必ず戻ってくる! 金輪際、我が儘は言わない!」 優君が、俺に近付いてきて口を開いた。 「和也君。 君が言ってる事はわかったよ。 だけど、もしも吾朗君が君の言うような人じゃなく、君を憎み、本当に殺しにきたら、どうするんだい?」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

302人が本棚に入れています
本棚に追加