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やっとの思いで、穴を掘り終わり吾朗の体を中に入れて土を被せて埋めていく。
ザッ ザッ
おじさんの時も土を掘る際と被せる際に時空を切り裂く爪を使ったが、またこんなことに使用するとは思わなかった。
綺麗に埋め終わった後、貧相なもんだが簡単に墓標を立てて置く。
俺と真文は全ての作業が終わるとしばらく静かに三つの墓の前で手のひらを合わせて拝んだ。
何かを感じる。ここ二、三日ずっと感じていた。
もうすぐ何かが始まる。
今までにない何かが。
とてつもなく嫌な予感がして俺の心を針でつつくようにキリキリと痛ませる。
全ての始まりな予感が。
それはうっすらと一つの言葉を浮かばせた。
戦争が始まる。
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