決勝戦へ向けて

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「なんですか? このダンボール箱は?」 ダンボール箱は形を崩さずに、ガムテープによって綺麗に包装されている。 棚の中に仕舞いっぱなしだったが、それほど長い時を経たわけじゃないから埃は少ししか被っていない。 「開けてみろ」 俺がそう言うと、古手川は遠慮がちに手をダンボール箱に伸ばした。 ガリ ガリ ガリ 綺麗に貼り付けられたガムテープの端を爪でめくっていく。 ビリビリビリビリ 直ぐにガムテープは剥がされ、塞いでいたダンボール箱の蓋が僅かに上に持ち上がる。 「こ、これは……」
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