287人が本棚に入れています
本棚に追加
足早にキースを先頭に、砂を踏みラベンダーの香りが漂う。
この紫色の砂は潰すとラベンダーの香りが周りに漂うような物質なのか。
他の星に来たのは、初めてだからそれが俺にとってはすごく新鮮だった。
一番後ろを歩く俺は横に並んだ、さっきの女に声をかけた。
「傷は大丈夫か?」
「うん。平気だよ。気にしないで」
女は視線を俺に向けて微笑んできた。
「これから俺達、死ぬのかな……?」
「う~ん。僕は大丈夫だと思うよ。なんとなくだけどね」
初めて会話した。自分の事を僕と呼ぶ女は誇らしく可愛げがあり、強く感じた。
ああ。俺はこういう奴には勝てないなって実感したんだ。力とか強さとか、そんなんじゃなくて。
勝てない気がした。
「私語を慎め!!!」
前方からキースの怒鳴り声が聞こえ、俺達は黙って足を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!