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やがて白い小さな建物が、砂漠が広がる地平線の向こうに見えてきた。
キースが立ち止まり、俺達を再び並ばせる。
「よーし! ここまで来たら十分だろ。おい! 14235番! 異次元ホールを作れ!」
キースの視線を見ると、俺の横に立つ女を見ていた。
彼女の名前は14235番だった。
「はい!」
まだこの時の秋醒は、異次元ホールを今ほど広い範囲で使えなかった。
だからなるべく建物の近くに寄ったんだ。
女が手を前に突き出すと、エネルギーが密集していくのが空気を伝わって感じとる事ができ、やがて手の前の空間が捻れて渦を作るように真っ黒の穴が出来ていく。
「出口は建物の中にしろよ!」
キースは女に近寄って、手の平でピンク色の綺麗な髪の毛をぐしゃぐしゃにした。
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