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その人は敵と俺達の距離の中間辺りに下から、フライシューズで飛んできた。
「信長さん……」
優君がボソリと呟く。
下から上がってきた信長さんは停止し、片手で柄を掴み、鍔を持ち上げると口を開いた。
「こいつは俺が片付けておくから上に行きたきゃ早く行け」
顎でメトロノーム宮殿を示し、敵の方を見据える。
隣に並んでいた優君が少しフライシューズで前に出て、信長さんの背中に向かって声をかけた。
「で、でも!」
「いいから行け。安心しろ。俺は死なねえから」
信長さんが刀を柄から引き抜くと、温度が上昇し刀からは熱気が伝わってきた。
「ありがとうございます……」
そう言って優君は俺達の方を振り向き口を開く。
「行こう!古手川君!」
仁が声を出さずに頷いてから、爪を掲げて時空の穴を作り出した。
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