奇跡の代償の先にあるもの

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「大丈夫? 友希さん」 僕が友希さんに手を差し出すと、友希さんはそれを祓いのけて、自分で立ち上がった。 「ごめんね。僕を守ってくれたんだろ?」 「またそうやってすぐ謝る!」 「はは。ごめん……。あっ。また謝っちゃった」 どうやら平気で立ち上がってる様子を見ると、傷の痛みは大丈夫なようだ。 よかった……。 「やっぱり、あんたに御礼が言いたかったのよ」 え? 友希さんは背を向けて、口を開いた。 「あの時、助けてくれてありがとうって……」 「それを言うために……わざわざここまで来てくれたの?」 「そうよ! 悪い? 借りを作っておくのも嫌だったからね」 「ははは……」 僕は苦笑いしか出来なかった。 さて、そろそろ秋醒を探して和也君のとこへ行かなくちゃ……。 約束通り、敵を倒した。 和也君、今行くから。 「!」 「うっ!!!」 苦しい! 突如、胸が締め付けられるように苦しくなる! あまりの痛みに僕は胸を抑えて、その場に膝をついた。
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