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葉月友希―――――――――――
「さあて目的の物も手に入れたし、帰るかな」
皇子と名乗った男はそう言って楽しそうに帰っていった。
アタシはそれを這いつくばりながら見ていた。
痛い……アタシの首からはどんどん血が流れていく。
アタシはもうすぐ死ぬだろう……。
もう駄目だろう。視界が、メリーゴーランドに乗っているようにぐちゃぐちゃになっている。
絵菜……ごめん。アタシはあんたに会う事も遊ぶ事も二度とできないよ。
溢れてくる涙で顔がひどいことになっているに違いない。
アタシは…………最後の力を振り絞って、這いつくばりながら動いた。
手がもげそうだ。
苦しい。
それでも…………せめてあいつがいる場所へ。
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