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いた。
進めていく掌にアイツの胸の感触が伝わってきた。
アタシはそっと、ゆっくりそのまま胸に倒れた。
暖かい……。
違うんだから。
これはアタシが一人で死ぬのが怖いから……いや、あんたが一人で死ぬのが可哀相だから一緒にいてあげるの。
いや………………。
ひねくれたアタシが最後だけ認めよう。
違うな。気づいたんだ。
アタシは、嫌い嫌いとか言いながら、アンタの事を心のどこかで気にしてたんだと思う。
アタシはこうなっても後悔してないよ。
アンタが蛇のモンスターからアタシを守ってくれた時、アタシはカッコイイとか思ってた。
優しげなところも、アンタの弱々しいところも、アタシはきっと好きだったんだ。
だから口に出さないけど……。
アタシは深い闇に落ちるように瞼を閉じた。
それでも沖田の手は握り締め続けた。
口には出さないけど……。
心からありがとう。
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