奇跡の代償の先にあるもの

23/23
前へ
/23ページ
次へ
いた。 進めていく掌にアイツの胸の感触が伝わってきた。 アタシはそっと、ゆっくりそのまま胸に倒れた。 暖かい……。 違うんだから。 これはアタシが一人で死ぬのが怖いから……いや、あんたが一人で死ぬのが可哀相だから一緒にいてあげるの。 いや………………。 ひねくれたアタシが最後だけ認めよう。 違うな。気づいたんだ。 アタシは、嫌い嫌いとか言いながら、アンタの事を心のどこかで気にしてたんだと思う。 アタシはこうなっても後悔してないよ。 アンタが蛇のモンスターからアタシを守ってくれた時、アタシはカッコイイとか思ってた。 優しげなところも、アンタの弱々しいところも、アタシはきっと好きだったんだ。 だから口に出さないけど……。 アタシは深い闇に落ちるように瞼を閉じた。 それでも沖田の手は握り締め続けた。 口には出さないけど……。 心からありがとう。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

267人が本棚に入れています
本棚に追加