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ドンッ!
空中から落下した冬冷が、アスファルトに打ちつけられると鈍い音が鳴った。
貫いたままの菊一文字の刺し傷から流れてくる血が、アスファルトを染めていく。
もう冬冷はピクリとも動く気配はない。
春雨に視線を移すと僕から目だけは反らさないで睨んできていたが、足が後ずさりしていた。
きっと今の僕の事を本能が拒否しているんだろう。
時間がないな。いつ僕の命が終わってしまうか、わからない。
早く決着をつけなきゃ。
「お前、自分の命を犠牲にするなんてバカアルネ」
春雨が掌を僕にゆっくり向けてきた。
「死ぬ時は彼みたいに一瞬で楽に殺してやる」
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