奇跡の代償の先にあるもの

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僕はそう言ってから、爪先に力を入れた。 フライシューズより圧倒的に早く動けそうだ。 地を蹴った瞬間! 身体が風を切り裂き、視界の景色が流れる! 春雨の掌からは僅かに水が溢れ始めた。 スローモーションの中で自分だけが早く動いてるような。写真を見ている感覚は変わらない。 ブレーキをかけて、僕が春雨の目の前で立ち止まっても、奴の視線は僕が動く前にいた位置に向けられていた。 気づく事さえできていないんだ。 水が溢れ出した左掌。 僕は片手で春雨の手首を掴み上に向けさせ、もう片方で拳を握り締めた。 そして春雨の顔面を目掛けて、僕は思いっきり拳を振るった!
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