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秋醒の真剣な眼差しは、嘘をついていないように思えた。
しかし、ここでフィフスを俺だって逃すわけにはいかねえんだ。
「いいから! 離れろ! そいつは俺の仲間を殺した! その仇討ちは当たり前だろ?」
こうしている間にも、フィフスの呼吸はどんどん荒くなっていった。
確かにもうじき死ぬ……。
「僕は嘘をつかない。黒タマゴはもうすぐ死ぬ」
風がなびくが、秋醒は髪を抑えたりはしなかった。
ただ視線だけが真っ直ぐ、俺に向けられる。
「っざけんな!」
よく冷静になれよ。
白石はどんな死に方をしていった?
その仇が目の前にいるのに、それをわざわざ逃がせってのか?
「もし君が僕の要求をのんでくれないなら……。僕で良かったら相手になるよ」
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