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夏鮫は窓の外にまた視線を戻して、口を開いた。
「あいつら……楽に逝ったか?」
「うん。一瞬だった」
夏鮫はなんとなくやり場のないような表情を浮かべて、歯を食いしばる。
「そうか……。死んだのか」
僕は涙を堪えて、夏鮫に返事をした。
「ごめんね」
何故かわからないけど、謝ってしまう。
言ってしまうのが嫌だったんだ。
夏鮫は、悲しい表情をしていた。
僕はわかってるよ。夏鮫は本当は優しいやつなんだって。
戦争って儚いんだね。
命って儚いんだね。
今まで培ってきたものを壊すんだよね。
「他に……報告はないか?」
「もう一つ。さっき皇帝陛下に会ったんだ。あれが通れる穴を作ってくれって」
「あれを使うのか」
「うん。ブレイクを起動させるみたい」
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