天草出陣!

20/22
270人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
奴は海岸に辿り着くなり、打ち寄せる波の中に足を沈めて着地した。 フライシューズで近づき、相手の姿が見えていく。 土の色に染まり、泥まみれになった全身。 奴が波の中へ歩く度に、足元から泥は洗われていく。 細く引き締まった身体は、先程と同じで銀色の塊。 あれに乗っていたのか? それとも……あの形から人の姿へ変形した? 私の事など気にせずに、自分の身体の泥を落としていく銀色の塊。 私は砂浜に着地し、その姿を見守った。 月の光に照らされ、海に立つ光景があまりにも美しく、私は警戒する事すら忘れ、見とれてしまった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!