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正面玄関についた時、その光景に圧倒されてしまう。
数え切れない地に倒れた人々。血の臭いが満遍なく振りまかれた空気。想像を絶する死闘。
敵味方関係なく、戦っているようにすら見えてくる。
屯所の入口から外へ出た怪我人は、敵に狙われ次々に殺されていく。
そんな中、高杉さんは銃を乱射し生き残っていた。
どちらが優勢で、どちらが劣勢なんてわかるはずもない。
それくらい私が見た光景は、私の意識を飲み込んだ。
「い、いや!」
「真文さん!しっかりして!」
視界がだんだんと歪んでいく。
人間を焼いた匂いは容赦なく、私を蝕んでくる。
発作を起こしたように、突然、胸が苦しくなってきた。
呻き声が沢山、聞こえる。
私は今、一体何をやっているの?
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