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溢れるように出ていく人混みの中を高杉さんは銃を構えて、駆けていく。
私と卑弥呼さんも全員が出るのを待ってから、誠の間を後にした。
誠の間を出ると、急に景色は赤色に染まる。
屯所の一階はガラス張りになり、普段なら見通しもよく、晴れていれば太陽の光が絶え間なく入ってくる。
今は、業火に染められた紅の色が満ち溢れていた。
ほとんどの硝子が破れ、炎が侵入し、血と人間が焼かれた匂いが鼻につく。
私の頬の肌は、すぐに熱を帯びた。
聞こえてくるモンスターの雄叫びや、迫り来る戦闘員の殺意が籠もった声。
犬の服を通して、命が終わる音が肌に雪崩れ込んでくる。
屯所の入り口から怪我人が次々に脱出していくが、あそこから出て大丈夫だろうか?
私はチラッと卑弥呼さんを見た。
卑弥呼さんの目線の先は同じ様に入り口を見据えていた。
そして卑弥呼さんは何か決意したように口を開く。
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