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終わりにか……。
切断部から侵入した刃が、ゆっくりと抜かれる。
「ァアアア゙アァア」
銀色に鋭く光っていた刃は赤く染まり、液体が垂れ流しになっていた。
足の感覚はもうない……。
腕よりもう少し下を見ると、無造作に転がっている私の両足を発見した。
もう……もう。
早く終わりにして欲しい……。
それが私の正直な本音だった。
ピスさんは掴んだ腕を引き、私を放り投げた。
視界からピスさんが遠ざかっている……今度こそ、手は離されたようだ。
落下し、足を失った私はバランスを取れるはずもなく地面と衝突する。
私の視界は何もない荒野の大地と平行した。
紫の着物の裾が徐々に近寄り、眼前まで来ると顔に重みを感じた。
顔に感じている重みは、踏まれているのだろう。
重みを通して、空から聞こえるピスさんの声。
「天草。
わらわは寛大だ。
そなたに最後のチャンスを与えよう。
まだ間に合う。
本部なら治療できるぞ。
わらわについてくるか?
それとも……死ぬか?」
「選べ!」
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